12日目−8月12日（火）− | ||||||||||||||||||||||
起床7時前に目を覚ます。寝ている間に蹴飛ばされた布団が部屋の隅でぐったりとしていた。寝ぼけ眼で部屋のテレビを点けると、どの局も北島選手の金メダルの話題で 持ちきりだった。顔を洗ってバッグの整理をし、7時になったところで朝ごはんを食べに食堂へ。 献立はご飯に味噌汁、卵焼きに漬物、味付き海苔という内容だった。日頃僕は漬物をあまり好んで食べないが、 この時ばかりはパクパクと口へ運んだ。ご飯を2回おかわりし、部屋へ戻る。 あれだけぐっすり寝てこれだけモリモリ食べて、今日調子が悪いはずがない。 
散らかってる[7:17] 
君らはまだ寝てていいよ[7:45] 
お世話になりました[7:47] 39番へホテルを出発し、南西の方角に向かって走る。思ったとおり調子が良い。おまけに
あ！[8:34] 
ハイブリッド[8:34] 
するめの卸売り[8:41] よくなかった。それで調子にのってしまった。おばちゃんの太鼓判を奪い取って、 勝手にポンポン押しまくってしまったのだ。ろくに地図で確認もせず思うまま道を選び、 どう見ても登山用の山道の階段を「おばちゃんが言ってたから」と自転車を押して乗り上げて登っていく。 どこかで薄々「この道は違うだろう」とは感づいているものの、「もしかしたら近道になるかも」という 願望がその勘付きを抑え込んでしまい、結局引き返したのは町が見下ろせるあたりまで登ってからだった。 
山にいた「セナカ・プーサンガニ」[8:56] 遭遇朝のホテル周辺とは打って変わって、辺りはすっかり山一色の景色になった。
文化は１割であとは自然[9:42] イノシシだった。子供の背丈ほどあるそいつは、 困ったことに道路に横に寝そべり、なんと道を塞いで通れなくしていた。 道で寝ていて邪魔な動物といったら、ポケモンの「カビゴン」ぐらいだと思っていたが、 ゲームではなく現実の世界に、しかも自分の目の前に現われたものだから、驚いた。 自転車から降り、どうしようかと頭を悩ませる。下手に接触するのは危険だ。 とりあえず、10mほど離れた場所から「そこで寝てると警察に怒られるよ、マジで」と 心の中で忠告する。すると忠言が効いたのか、面倒臭そうにのそっと起き上がり、道路脇の山中へ 走り去っていってしまった。 イノシシが寝ていたところを通り過ぎ、そこでやっと「今の状況、結構危なかったんじゃ･･･？」と思い返す。 もし追いかけられでもしたら、いくら自転車とはいえ、到底逃げ切れなかっただろう。 そして数分後には「そういえば去年は亥年だったっけ。だからか」 「もののけ姫にもイノシシが出てたな、でかいやつ」なんて関係ない事を考えるのだから、 まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」だ。 
ここにいました[9:49] 
次は多分キリンあたりが[9:59] 
ずいぶん都会に見える[10:44] 
下り坂だ！[11:22] 接近空は晴れていて、雨の降る気配など微塵も感じさせなかった。ところが ふと前方を見やると、遠くの方から雨が近付いてくるのが分かった。100mほど先に雨と晴れの 境があって、雨の部分は水しぶきでコンクリートが白く見えるので、境目がはっきりと区別できる。 その境界線が段々とこちらに向かって近付いてくるのだ。
来とる！[11:26] 
うおお[11:31] 姫ノ井にて山を抜けたところで、小さな町に出た。姫ノ井（ひめのい）という地名らしい。
おお･･･[11:43] その後Yマートというお店に入り、昼飯を買って食べようと思ったが、弁当が一切残っていない。 全て売り切れだ。店のおばちゃんに言うと、どうやら この十分後ぐらいに昼の仕入れがあるらしく、それまで待たないといけないのだそうだ。少し考えた後、 とりあえずペットボトル入りのカルピスだけ買い、おばちゃんにお願いしてボトルに水を汲ませてもらう。 おばちゃんにお礼を言うと、僕のお遍路を「一生の思い出になるよ、きっと」と言ってくれた。 再度お礼を言って、去る。 カルピスをちょびちょび飲みながら、国道321号線を走る。今頃僕の胃の中ではカルピスとオレンジジュースが うまい具合に混ざり合っているんだろう。まるでバイオ燃料で走る車みたいだ。 馬力とデザインでは勝てないけど、燃費なら負ける気がしないぜ！僕は人の好意に接すると、すぐに調子に乗る。 お店を出てしばらく走ると、道の駅を見つけた。何か食べようと思って立ち寄る。 いちごのソースのかかったソフトクリームが名物だというので、駅の中でそれを買って駅の外に出る。 屋外ではアンケートが実施されていて、呼びかけの女の子が可愛かったので、ふらふらと寄っていって さらさらと書き、にやにやと笑ったところでぼたぼたとソフトを垂らす。 ソフトを食べた後、今度はまた別の道の駅に入り、そこでもアイスを買って食べる。 
なぜかいたクラゲ[12:16] 39番へ地図によると、この道をまっすぐ行った先に次の39番札所「延光寺（えんこうじ）」があるらしく、 そこを打ったらまたこの橋に戻ってくればいいようだ。
とりあえず橋を渡る[13:04] 
[13:46]
二時です[14:01] 
ただいま[14:21] 40番へさて、次の40番へ行くには、ここから更に20kmほど走らなくてはならない。現在時刻は14時半。 あと2時間半で20kmだから、計算上は時速10kmで走っても余裕で間に合う距離だ。だけど そう簡単に行くもんじゃないということは、これまでで身をもって経験してきたので、 気を引き締めて走り出す。険しい顔つきで走っていると、嬉しい標識が目に入った。 
愛媛だ[15:13] それに加えて、僕は幼い頃から愛媛県には漠然とした好感を抱いていた。 それが僕のみかん好きによるものなのか、「愛」の字が愛知県とおそろいだからかは分からないが、 とにかく愛媛に入ったことが僕の機嫌を良くしたのは間違いない。 
山も愛媛っぽい気がする[15:28] そして、40番のお寺に到着した。 
[16:30]
八十八のお寺の名前が彫ってある[16:40] 
太陽でけえ[17:04] 
ちょっと贅沢して焼肉弁当[17:37] 
さあ行くぞ[18:23] 寝床探しところで今夜の寝床だが、目処は大体立っている。実はさっきの40番のお寺のお坊さんから 「泊まるんならいい公園がある」との情報を入手していた。何でもその公園の向かいには 規模の大きな温泉があるとのこと。結構距離は離れているそうが、 温泉さえ入れるのであれば距離なんてあってないようなものだ。嬉々として走る。
絶対ネッシーだ[18:49] 
設計者さんありがとう[19:02] 
独り占め！[19:04] 
サファイアのよう[19:10] 温泉受付で入浴料の400円を支払い、脱衣場で服を脱いで浴室へ。体を洗って湯に浸かる。えも言われぬ心地よさに 包まれ、しばらく思考が停止する。
体を洗っている時に鏡を見て気がついたのだが、日焼けの痕が何とも面白いことになっている。
笈摺は袖がないので、ちょうど肩口から先が真っ黒なのに、首から下は真っ白。だけど膝から下は真っ黒で、
なのに足先は真っ白という、配色を間違ったパンダのようになっていた。だけど、たまに他のお客さんに
凝視されるくらいで、「焼けてるね」と声をかけられることもなければ、
パンダと間違えられて密猟に遭うこともなく、心行くまで温泉を堪能した。湯から上がって体を拭き、さて次はどうしようかと考えを巡らせたところに、併設されたレストランが 目に入った。「だって今日頑張ったし」を合言葉に突き進んで店内に入り、店の奥のテーブルに 座り、800円くらいのつけ麺を注文する。 
うまそう[20:24] 
ユニコーン[21:00] 東屋には僕の他にもお遍路と思しき人たちがテントを張っていて、そのうちの数人は既に眠っているようだった。 なるべく物音を立てないようにテントに潜り込み、とても幸せな気分で眠りについた。 一日の走行データ
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