15日目−8月15日（金）− | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
起床6時ごろ目を覚ます。布団代わりにしていたテントを丸めてバッグに押し込む。 干しておいた衣類などを畳み、これもバッグに詰め込む。 テーブルにつき、昨日頂いたおにぎりを食べる。ありがたいことに漬物つきだった。感謝しながら頬張る。
いただきます[6:38] 最初は普通に僕のお遍路の話だとかをしていたのだが、次第に話題が宗教へと持っていかれ、もしかしてこれはと思った 直後に勧誘をされた。今度は仏教とはまた別の、よく分からない宗教だった。 なるべく話題を逸らしながらさっさと出発準備を終わらせる。 宗教の話は怖かったが、おばちゃん自身はどう見ても人の良さそうな人物だったので、話せたお礼に名刺代わりの 納め札を渡そうとしたところ、「私達は合同崇拝はしませんので」といってキッパリ断られてしまった。 納め札は仏教のやつだから、だからダメなんだろう。深くは追及せず、別れを告げてその場を去った。 46番へレストパークを出てからは、しばらく上り坂が続いた。自転車には乗らずに押して歩く。
歩道が終わってしまう[7:23] 
ぼく峠って大好きさ！[7:30] 
お遍路さんの無料宿泊所[7:31] 
いよいよ松山[7:31] 
海も見えます[7:32] 1000kmふとハンドルのメーターを見ると、もう少しで総走行距離が1000kmというところだった。 ちらちらとメーターを確認しながら距離を伸ばし、そしてついに
やったぜ1000km！[7:42] 1000km突破がすごく嬉しかったのか、鼻歌まで歌っていた。 ミスチルの一番好きな曲「ありふれたLove Story」を口ずさみながら走っていた。そしたら 曲がるべきところで曲がらずに直進してしまい、気がついたら遍路地図に載っていないところまで 来てしまっていた。しまった！ 恐らく歌に夢中で標識を見落としていたんだろう。惜しかった。もし歌っていたのが「sign」だったら 道を間違えずに済んだだろうに！ 「僕に向けられてるサイン もう何一つ見落とさない」 のあたりで「ハッ」となったはずだ。･･･ならないな。どのみち見落としていただろう。 近くにいたおばちゃんに道を聞き、随分遠回りになったが次のお寺へ向かう。 1時間ほどかけてお寺付近まで辿り着き、そこで分かれ道に出くわした。 
どっちから行こう[9:03] 曲がってすぐに46番のお寺に到着した。 
[9:05]
古めかしい本堂[9:07] 
[9:27]
やったぜ！[9:38] 更に驚くことに、彼はこうも言った。「高校生のお遍路がいるって、俺の回ったお寺でたまに話を聞いたけど、 多分君の事だよな」。ええ、まじっすか！なんて、まだ自分のことだと決まった訳でもないのに つい調子に乗ってしまう。上機嫌でお兄さんに別れを告げ、お寺を出る。 門から一度分岐点まで戻り、そこから北へ北へ走っていく。そして15分ほどで次のお寺に到着した。 
[9:59]
蓮だってある[10:08] コインランドリーにて48番のお寺を出たところで、ふいに自分の臭さに気がついた。頭、シャツ、ショートパンツ、そのどれもが 満遍なく臭かったが、中でも笈摺の臭さは抜きん出ていた。これでは公害にタイヤが二つ付いて町中を 走っているようなものだ。松山市に迷惑はかけられない。運よくコインランドリーを 見つけたので、迷わず駆け込む。一応昨日寝る前に手持ちの服を全部水洗いしたのだが、洗剤がないため臭いを取りきれず、 さらに一晩では乾ききらなかったので着られずにいた。それらを改めてここで洗濯するのも面倒なので、 とりあえず乾燥だけすることにしよう。バッグの中からビニール袋を取り出し、中に入っていた服の塊を 乾燥機に放り込む。お金を入れて乾燥機を回し、乾くのが待つ間ベンチに座り、近くの本 棚にあった 「ゴルゴ13」を読んで時間を潰す。ついでに携帯も充電させてもらう。 
ランドリーっていう映画が好きだった[11:33] その直後、母親が「失礼なこと言わないの！」と兄を叱りつけ、こちらを振り返って 「すいません･･･」と謝ってきた。僕も「いえ、こちらこそ･･･」。臭くてごめんなさい、と臭いのを認めた後、 「ごめんね、お兄さん最近風呂入ってないんだ」と苦笑いしつつ話しかける。おととい風呂に入ったけど、 あれ五右衛門風呂だったしなあ･･･。肩を窄めてゴルゴを読む。乾燥が終わるやいなや、さっさと 洗濯物を取り出してバッグに押し込み、自転車に跨ってコインランドリーを後にする。 49番へコインランドリーを出てからしばらく走ると、49番のお寺が見つけた。
[11:55]
昼食ちょうどお昼を回ったころ、コンビニで昼食をとる。
いただきます[12:13] 
町を見下ろす[12:35] 
[12:36]
きょうのわんこ[12:45] 50代半ばほどに見える運ちゃんは、かれこれ30年もの間運転手を勤めてきたそうだ。 「これまで会った中でも特に変わったお客さんは？」と 僕が聞くと、何年も昔の話だけど、ここ四国から静岡まで運転するよう頼んできたお客さんがいたんだとか。 その時の運賃はなんと片道で10万円。わざわざタクシーでなくても飛行機なり何なり使えばいいのに。 そう僕が言うと「金持ちはそういうの嫌がるんじゃねえのかな、知らねえけど」と運ちゃんは言った。 そうなのか。他にもチップで5万貰ったりしたこともあるそうだった。 金持ちって実在したんだな･･･。 お遍路さんの中には自分のお遍路の体験記を本にして出版する人も多く、ある人が書いた本の中に 今いるアイス屋が登場しているらしく、アイスのおじさんは嬉しそうにその本の該当するページを 見せてくれた。 今の時代、宣伝って大事だもんなあ。Yahooなんか見ても、どこもかしこも広告ばかりだもの。 でもおじさんの喜びはそういう理由によるものではなく、本を書いたそのお遍路さんに 覚えていてもらったことに対して喜んでいるように僕には見えた。 51番へアイス屋を出て、そこから更に北へ向かっていく。ここらへんはどうやらお寺が密集しているようで、 これまた近い場所に51番のお寺があった。
[13:18]
折ってみる[13:26] 
入り口付近にあった龍の彫刻[13:11] 道後温泉お寺を出たら、もうそこは道後（どうご）温泉。夏目漱石「坊っちゃん」でも有名な温泉街だ。 この時の僕はまだその小説を読んだことがなかったので、「へえ」ぐらいにしか思っていなかった。 だから建物だとか石碑なんかも全然気にせず通り過ぎてしまい、それが遍路後の後悔に繋がるのだが、 ひとまずそれは置いておく。さて、道後温泉。2時間前に子供に「臭い」と言われた僕としては、 ここで風呂や洗濯なんかを済ませてしまい、何だったら先刻の子供を探し出して「どうだ、 もう臭くないだろう」と言ってやりたいぐらいの心持ちだ。言ったのが子供とはいえ、やはりショックは 大きい。 
時代の空気が混ざり合う[13:39] 
人力車だ[13:40] 
ここは･･･？[13:45] 
怖かった[14:17] そして、次のお寺のふもとまでやってきた。前方には急な坂道が立ちはだかっている。 
頂上が見えないのが困る[14:53] 
[14:59]
ちょっとここで待ってて[15:01] 
山門にはたくさんの納め札[15:03] お寺を出たところから北上し、次の53番のお寺へ。 
[15:34]
2000円で合格祈願[15:04] 
何年経ったらこの色になるんだ[15:32] 北へ！地図によれば、次のお寺は随分離れているみたいだ。という訳で今日のお寺回りはこれで終了。 恒例の寝床探しを始めたいと思います。結局風呂には入れずじまいだったけど、めげずに頑張ろう。
もうすぐ今治[16:18] 
歩道がある海岸線って素敵[16:21] 
バス停留所「小川」[16:28] 
セルフタイマーでパチリ[16:50] 
絵がかわいい[16:51] 
5時です[17:00] 
ゴジデスヨ・ドラゴン[17:00] 北へ途中でなんとなく大通りを離れ、浜辺のすぐ横を抜ける小道へ入ってみた。 理由はよく分からないが、浜辺の若者たちの青春に混ぜてほしかったとかそんなとこだろう。
すごく楽しそう[17:01] さてどこで野宿しようかと目を見晴らせていると、 
おお？[17:03] 駅から随分離れたにも関わらず、若者の喚声はまだ聞こえてくる。それらを背中で聞き、 ハンドルを握りなおし、更に北へと向かう。 今治駅から更に十分ほど走ったところで、
あ！[17:19] 
＞＞＞＞＞＞[17:26] 
THE のり弁[17:37] 公園にてさてどこで泊まろうかと頭を悩ませていると、うまい具合に公園を見つけた。屋根つきのベンチがあって 水道もあり、暴走族よりは幼稚園児の方が集まりそうな雰囲気の公園だ。早速敷地内に進入し、さっさとテントを 張って「ここは俺のもの」アピールをする。法的には国のものだけど、気持ちの問題だ。水道でタオルを濡らし、体を拭く。「臭い」と言われたのが相当ショックだったようで、その分念入りに 拭く。拭いたところで服は臭いが、拭く。 家事を一通り終えてテント前のベンチで休憩していると、一枚の紙が僕の足元へ舞い降りた。なんだろうと 思って拾ってみると、エロ本の破れた１ページだった。ってことは、この公園のどこかに本体があるはずだろう。 いつもは考えてから行動に移すまでが遅い僕だが、この時ばかりはもう、考える前に行動していた。 そして水道脇に落ちていた一冊の本を拾い上げ、脇へ抱え込み、テントの中へ投げ入れる。 辺りはまだ明るい。堂々と公園のど真ん中で読む勇気はないので、 夜を待ってからテントの中でゆっくり見ることにする。 そこで、恐らくウォーキングで通りかかったであろうおじさんが僕に話しかけてきた。僕のテントを見て 「お遍路さん？」と聞き、僕が頷くと、「ここの公園は泊まる人多いんだよ」と説明してくれた。 他にもいろんな話をしてくれたが、僕はテントの入り口から少しはみ出ている エロ本がバレるんじゃないかと気が気でなく、ほとんど話を聞いていなかった。 もしかしたらおじさんはこの公園の管理人か何かで、僕が本を拾ったことを怒っているんじゃないのか。 人間気が動転していると想像力が悪いほうに傾くようで、そんな心配までしていた。 しばらくしておじさんが帰り、辺りが暗くなり始めたのでテントへ潜り込んで本を眺める。 一通り読んだ後で元の場所へ戻す。キャッチアンドリリース、レットイットビーだ。再びテントへ潜り込み、 きっと今頃お風呂に浸かっているであろうランドリーで会った兄弟（特に兄）に届くように 「風呂入れるのが当たり前と思うなよ･･･！」と強く念じる。 念が届いたら届いたで「お兄さんがおかしいんだよ」って思われそうだけど。 そんな感じで、寝た。 一日の走行データ
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