16日目−8月16日（土）− | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
起床夜遅くまでニンテンドーDSの桃太郎電鉄をやっていたので、結局5時間ほどしか眠れなかった。 5時30分ごろテントから這い出て、適当に体を動かし、水道の水で歯を磨く。
寝やすかった[5:53] 次のお寺を目指す前に、まず朝ごはんだ。少し道を引き返した先のコンビニへ行く。 お店に入ろうとすると、横からおじいさんが「タバコをくれんか」と言ってきた。 持ってないので「ありません」と言うと、トコトコとどこかへ歩き去った。 店内でミックスサンドと2色パン、そしてカフェオレを買い、 店の前の駐車場に座り込んで食べる。 
3色と2色で5色パンだ[6:43] 54番へまずは54番のお寺を目指して走る。道なりにまっすぐ走ればいいだけなので、迷う心配もない。 おまけに、どうやらこの先６つのお寺が隣接しているようだから、今日中に一気に60番台まで いけてしまうかもしれない。ありがとう愛媛！
がっちりキャッチ[7:15] 
[7:52]
街路樹[8:15] そして55番のお寺に辿り着く。 
[8:31]
平田さん本堂で参拝し、広い境内を散歩するかのようにうろつき、思い出したかのように納経所へ向かう。 納経をするおじさんに納経帳を手渡す。さらさらと筆を走らせる窓の向こうのおじさんは、すごく 親しみやすそうな雰囲気を発していたこともあって、これまで度々疑問に思っていた質問をぶつけてみた。「あの、納経書き始めて何年になるんすか？」 「え？100年」 驚いておじさんの顔を見ると、嬉しそうにニヤニヤと笑っている。納経が終わり、300円を手渡そうとすると、 「それじゃ足りないよ」と言われた。 「じゃあいくらなんすか」 「え？100万円」 また嬉しそうにニヤニヤと笑っている。それでつい、僕もつられてニヤニヤとしてしまう。 「このおっちゃん面白えな･･･」と思っていると、平田さんというその初老の男性は ふいに「君はどこから来たの、名前は？」と聞いてきた。 そこで僕が「小川です、愛知から来ました。」と答えると、おじさんは手元にあった小さな紙に すばらしく格好いい字体で「尾張国 小川」と名札っぽく書き、乾かしてからそれを納経所の最後の ページに挟んでくれた。感激してお礼を言う。 その後に彼は「これまでのお遍路、大変だったんじゃないの？」と僕に聞いてきた。 「まあ、そうですね。大変でした」 「もう懲りた、でしょ？」 「え･･･？ええ、懲りました」 それを聞くと彼は別の小さな紙に「忘己利多」と書き、その言葉の意味を教えてくれた。これは 「もうこりた」と読むらしく、「己を忘れて他人の利益を考えなさい」という意味だそうだ。 （ちなみに最澄の言葉だそうです。）そういえば、バガボンドでも"我執（がしゅう）"について の話があったなあ。話を聞きながらそんなことを考える。 「何年納経してるのかなんて聞いてきたのは君が初めてだよ」と最後に平田さんは言った。次のお寺への 道のりを簡単に教えてもらい、お礼を言って55番のお寺を後にする。 56番へまっすぐ行けばいいだけだったので、迷うことなく無事に辿り着く。
[9:13]
これです[9:20] 
人形みたい[9:22] 
立派な本堂[9:15] 
灯[9:16] 57番へ次のお寺もそう遠く離れていないようだ。だけど少し道が複雑になっているので、丸めた地図を左手に 握らせながら自転車を漕ぐ。川を越え、少し走ったところに57番の入り口が見えた。 
坂道[9:48] 
[9:51]
この住職の方は、お坊さんだけどネットでエッセイ、更にブログやサイトまで持っていて、そういう 好きなことをやってる感じがすごい好きで一度会ってみたかったのだけれど、この時の僕は 何も知らずに通り過ぎていってしまった。 
オンマウスでオシャレさん[9:54] 58番へ次の58番のお寺へ行くには、やはりというかまたかというか、山登りしなくちゃいけないらしい。 標高は280ｍとある。どうしてそう山にお寺を建てたがるのか分からないが、もし僕がお寺を 建てることになったら、同じように山に建てるだろう。だって、その方がお寺っぽいからだ。
でもまだ10時[10:03] 
あの山かな[10:10] 
20分の景色[10:28] 
[10:37]
1時間と20分の景色[11:20] 納経を済ませ、お寺を後にする。 
下っていきます[11:20] 
ポカジスイエット[11:28] 水と思い出で一杯になったボトルを抱え、石段を降りていく。 59番へさて、次の国分寺だが、距離はそこまで離れていないが、道が入り組んでいて分かりづらい。いや、 地図どおりに進めば道を3回曲がるだけでいいのだけど、僕からしたら「そんな、3回も曲がるだなんて」だ。 あまり考えないようにして、まずは腹ごしらえをすることにする。山のふもとにあった 「いなかや」といううどん屋さんに入って650円の山かけうどんを注文する。ふとお店のテレビを見たら、 
「西日本：非常に激しい雨のおそれ」[12:06] 
うまそう！[12:14] 
ひらがな四文字の親近感[12:24] 
すごく分かりやすい看板[12:41] 
[12:58]
国分寺で僕と握手！[13:00] 帰り際、お寺入り口の階段で若い女性遍路の二人組に出くわした。すれ違いざまに挨拶をする。 61番へさて、番号からいくと次は60番のお寺へ向かうことになるのだが、60番札所「横峰寺」は標高745ｍという、 道中最難関と言うお遍路さんもいるくらいの恐ろしいお寺なので、今日はその周辺のお寺を回っておいて、 明日気合を入れて61番を打つことにした。
橋だ[14:16] 
←：風向き 進行方向：→[14:19] 
都会だなー[14:31] 
ダチョウ！？[14:38] 
橋だ！！[14:51] 子安大師そして、まず61番のお寺に着いた。
[15:03]
お寺には見えないけど、お寺[15:06] それにしても、僕もいつかはああやって結婚し、子供を持つようになるんだろうか。育児を取り扱った ブログは今まで何度も見てきたが、まさか自分が書き手になると思いながら見てはいない。ただ、 書くとしたらきっと4コマだろう。それは間違いない。お寺の女性たちを見ながらそんなことを考えた。 名前つけるんなら何がいいかな、なんて考えつつ、62番のお寺に到着した。 
[15:28]
達筆だけど言ってることがすごい[15:37] 彼の名前はダヴィド。ドイツからやって来たそうで、22歳。日本語がとても上手く、 今は自分探しの意味合いも込めて、一緒に日本に来た友達とお遍路をしている最中なのだとか。 友達の姿が見当たらないので 聞いてみると、彼とは別行動を取っているらしく、曰く「その方が考え事ができる」とのこと。なるほど。 あと、「日本で売ってるフランクフルトはドイツのものとは全然違う」「日本のビールはアサヒのやつなら 飲める」とかいうようなことを話してくれた。 何かドイツ語で挨拶しようと、僕が「グーテンモルゲン！グーテンモルゲン！」と繰り返すと、 「それは朝の挨拶だよ、昼は『グーテンターク』」と教えてくれた。なるほど！ダンケシェーン！ 日本語で別れを言ってお寺を後にする。 
楔（くさび）だ[16:19]
真ん中の人はきっとしょぼい[16:23] 大阪弁の兄さんと別れ、寝床を探しに走り出す。 石槌温泉さて、雨である。その上明日には結構な登山を予定しているので、ここはひとつ宿に泊まることにしよう。 どこに泊まろうかなと地図を広げると、お寺のすぐ前に石鎚温泉という温泉宿があることが分かった。 すぐさま飛んで行ってカウンターで値段を確認してみると、素泊まりで3800円とある。 だけど、今はお盆期間ということで値上がりし、500円アップの4300円とのこと。 今朝軽トラのおじさんに200円貰ったことだし、それにこれまで贅沢してきてるんだから 今更500円アップくらい気にしなくていいのに、変なプライドを覗かせて受付のお姉さんに 「じゃあ、いいです」と言い、外に出てしまう。温泉の駐車場に座り、比較的近くにあった宿に電話して、そこの値段がここの温泉宿と そう変わらないことを知ると 先ほどの受付のお姉さんに「すいません、やっぱり泊まります」と言う。その時の僕の情けない顔ったらない。 お金を支払い、鍵を受け取り、自転車のバッグを外して両手で持ち、部屋まで行き、 両手のバッグを一旦置いて鍵を開け、再び持って中に入る。部屋の中にバッグを投げ捨て、 部屋の中央にへたり込む。 恥ずかしい思いはしたが、泊まっちゃえばこっちのものだ。温泉にも入り放題っぽいから、まずは 風呂に入ろう。着替えだとかタオルなんかを持ち、部屋に鍵をかけて大浴場へ向かう。 温泉には地元の人たちがたくさんいて、露天風呂に浸かりながら一人のおじいさんと話しをした。 「歳をとるとどうしても筋肉が衰えてくる」「日本の自給率が低い」「昔は兄弟がたくさんいた」 「戦争でたくさんの人間が死んだ」。そういった様々な内容の話を僕に話してくれた。 ポツポツと雨の降る露天風呂で、80過ぎのおじいさんと戦争について話す。同じ会話でも、 学校で友達と話すのとは大きく違ってくる気がする。 こういう人たちの話はちゃんと覚えておかないとな、と電気風呂で痺れながら思った。 風呂から出て服を着て、自分の部屋に戻ったところで自分の服の臭さに気付く。今まで気付かなかったのが 不思議なぐらいの臭さだ。汚い服もまともな服も鷲掴みにし、部屋にあったカゴに放り込み、部屋を出てすぐの ところにあった洗濯機に放り込み、300円を投入してグルグル回す。「見たかこの野郎！」という 気分だ。 しばらくして洗濯が終わり、 今度は乾燥機にかける。それも終わったところで取り出してみると、まったく別物のように臭くない。 そうか、服って本来臭くないものなんだな、と気付く。そして野宿マップをポケットに入れたまま 洗濯してしまったハーフパンツと、紙の破片だらけの衣類にも気付く。 ･･･この野郎！ 
散らかった部屋[19:37] 料理がやってくる。 
何という･･･[20:06] 部屋に戻って日記を書き、ラジオを録って布団を敷く。布団の中で「橋で会った女の人は ちゃんと宿に泊まれただろうか」と心配する。他にも今日会った色んな人たちの事を思い返す。 あんまり考えながら寝てると、もしかしたら夢に出てきてまた会っちゃうかもな、 なんてことを思いながら、寝た。 一日の走行データ
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