2日目−8月2日（土）− | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
起床結局うまく眠ることができず、ひたすら時間が経つのを待ち、ひたすら夜が明けるのを待った。 そして早朝5時、辺りが明るくなり始めた頃、出発の準備を始めた。学校で覚えさせられたラジオ体操第二を 一通りやった後、歯を磨き、体を拭いた。そうしていると近所のおっちゃんが現われたので、 「これからお遍路なんすよー」なんて言って、一言二言会話した。
すごく野宿っぽい。[5:01] ローソンの駐車場に座り込んでおにぎりを食べていると、農作業姿のおばあちゃんに声をかけられた。 同じように「これからお遍路なんすよー」で話し始める。可愛らしい感じのおばあちゃんだった。 朝食を食べ終え、1番のお寺へ向かう。お寺の前には様々な参拝用具店が並んでおり、そのうちの ひとつにお遍路の案内所みたいな施設があったので、そこで説明を受けることに。 すだちおじさん案内所に近寄っていくと、早朝にテント付近で会ったおっちゃんにまた会った。どうやらおっちゃんは 僕を探していたらしく、理由を聞くと彼は手に持っていたみかんのような果物を僕に渡してきた。 一つではない。十数個はあろうかというそれらを、有無を言わさず手渡してきた。 少し訝りながらおっちゃんに食べ方を教わる。皮を向いて握りつぶし、果汁を搾り出して吸う。 あ、酸っぱくてうまい！疲れた時に吸うと更においしそうだ。後で知ったのだが、その果物は「すだち」という徳島の名産品らしい。名産をタダで貰えるのは嬉しいが、 それを持ち運ぶ容量は既にサイドバッグにはなく、かといってヒップバッグに入れる訳にもいかず、 どうしようかと考えていると水を入れるボトル（1L）が目に入ったので、それにゴロゴロと詰め込んだ。 お礼を言うと、おっちゃんは満足そうに去って行った。 ふたりの結願者案内所の前ですだちを吸っていると、二人の若い男女に話しかけられた。二人は丁度お遍路が終わったとこらしく、 お礼参りをしにここへ戻ってきたのだという。夫婦か何かかと思いきや、二人はお遍路をしている最中に 出会って以来行動を共にしているのだそうだ。ロマンチックとまではいかないけど、なんかいいなそれ。お遍路を終えただけあって、お遍路について何でも知っていた。「納経はした方が絶対楽しい」とか 「他のお遍路さんには積極的に話しかけるといいよ」なんてことを話してくれた。それまでの僕は お金がかかるという理由で納経はしないつもりだったんだけど、話をしてくれた女性のおかげで 納経を集める気になった。結果的に 納経のおかげで結願した時に例えようのない満足感を味わう事ができたので、その女性には とても感謝している。ありがとう！ おまけに写真も撮ってもらった。 
山門前でパチリ[6:42] 初めての参拝女性の方が言うには「お寺にいる尼さんが丁寧にお遍路について説明してくれる」らしいので、 二人に別れを告げ、お寺に入る。寺内にあった売店のような部屋に行き、尼さんを見つけて声をかけ、 売店の横にある小さな座敷に座ってお遍路についての説明を聞く。 尼さんは懇切丁寧にお経の意味だとかお遍路に向かう姿勢なんかを説明してくれた。 ちなみに僕は一人で説明を受けた訳ではなく、山門付近で仲良くなった大学生のお兄さん（正座が苦手）と 一緒に話を聞いていた。 説明が終わり、必要な道具を買い揃える。ロウソクと線香と経本は既に家を出る前に買っておいたので、 笈摺（服）と納経帳、納め札を買う。自転車で回るので杖も笠もいらない。 商魂たくましい売店のおばちゃんが やたらと「これも要るあれも要る」と言っていたのが面白かった。 道具も揃ったので、とりあえずお寺を参拝する事に。「お経読むの恥ずかしいっすねー」なんて事を お兄さんと話しながら、たどたどしい手つきで一番のお寺をお参りする。
お遍路スタート納経帳を買ったはいいが、どこに入れるか考えていなかった。自転車のサイドバッグは 既にパンパンで入らないし、かといって紐で荷台に括りつけるのも落としそうで怖い。 結局サイドバッグに無理やり詰めることにした。荷物は少ない方がいいんだな･･･。とりあえず先ほど購入した笈摺を着てみることに。 
目が死んでる。[7:52] 
[7:59]
ここからは歩道なし[8:33]
崖っぷち[9:17] 
[9:35]
この人が[9:36] 
植えたそうです。八百年･･･[9:37] 坂がキツい！普通のお遍路さんであれば少しキツいくらいの坂道なんだろうけど、 自転車の僕は自転車を押して歩かなくてはならないので、腕、腰、足などの全身の力を 使って登らなくてはいけないのだ。しかも最近部活を引退して運動不足だったこともあって余計辛い。 軽々と登る車やバイクを横目に汗だくで登る。 約十分後、山門が見えてきた。 
やっと着いた･･･[10:26]
お接待そういえば、迷ってたら1000円貰った。4番のお寺を出てからの僕は、軽く迷っては道しるべを見つけて安心し、 そこから適当に走ってはまた軽く迷うを繰り返しながら走っていたんだけど、 天性の方向音痴の才能が今になって開花したみたいで、一度だけ本格的に迷ってしまった事があった。 それで近くにいたおばちゃんに道を聞いたところ、道を教えてもらった後に 「これでお昼でも食べなさい」と1000札を一枚手渡された。1000円！！ これは俗に言う「お接待」という奴だろうか。今朝 おっちゃんにすだちを貰って、その次は1000円、次は一体何になるのだろうか。インド象だろうか。 自慢の高速会釈（１秒間に５回）を繰り出し、貰ったワンサウザンドイエンを大事に 財布にしまい、お礼として納め札を渡して別れた。 
フキ畑[10:52] 
お米が一番燃費いい[11:16] 食堂を出て、ひたすら西へ。6番のお寺に着く。
鯉がたくさんいた[12:28]
順調に距離を稼ぐ[13:38] 
[13:50]
田んぼらしい田んぼと[14:12] 
カカシらしいカカシ[14:32] 
ちょっと待ってて[15:18]
読み違い地図を見ると、11番のお寺は10番のお寺の左の方に書かれている。左ってことは、西か。 コンパスで方角を確認し、ひたすら西に進む。こまめに方角を確認しているので、迷う ということはないはず。これまでたくさんあった道しるべが一切目に入らないのが 気がかりだが、長いお遍路だ、そういう区域もあるのだろう。そう考えて無心でひたすら 西へ向かった。
左っていったら西だろう[15:57] 僕の買ったお遍路の地図は、厄介なことにページによって方角がまちまちなのだが、 僕の開いていたページを再度よく見てみると、なんと北が右になっていた。 なので次のお寺に行くには西ではなく南へ行かなくてはならなかったのだ。やっちまった！！ 頭を落ち着かせて考えてみる。南に行かなくてはいけないのに西へ走ってしまったということは、南東の 方角に走ればある程度お寺に近づけるという事だ。という事でひたすら南東を目指して走った。が、 それで目的の寺に着くはずもなく、結局近くにあった交番で道を聞いた。「なんでこんなとこまで お遍路が来てるんだ」というような表情を浮かべつつ、丁寧に道を教えてくれた警官の方、ありがとう ございました。 交番を出て、教えてもらった道を教わった通りに走る。お腹が空いて仕方がないが、なぜか飲食店が全くなく、 震える手でハンドル操作しながら走る。そして30分ほど走ったところで やっと11番のお寺近くまで来ることができた。やった！ 温泉に入ろう時刻は既に5時を過ぎており、今から11番のお寺へ向かっても無駄なので、地図に小さく載っている 銭湯に行く事にした。どうやらそこにはお遍路さんが無料で泊まれる宿があるらしい。無料！なんと 素晴らしい響きだろうか。無料の理由も考えず、僕はその銭湯に向かった。地図を何度も確認しつつ走り、難なく目的の銭湯に到着。自転車を停め、荷物だけ取り外し、 建物の中に入って券を買おうとすると、どうやらお遍路さんは値段が安くなるらしい事が分かった。ありがたい。 荷物をロッカーに押し込み、体を洗い、湯に入る。ハー！！日本人デヨカッタ！！ 温泉のすばらしさを肌で実感した。お湯から上がり、受付の女の子に宿に泊まりたい旨を告げる。 宿はどうやら銭湯の隣に設置されているらしく、宿帳に名前を書くだけで、後は好きに泊まって いいみたいだ。洗濯機だってある上に、 しかも今なら一部屋好きに使っていいらしい。なんてすばらしいんだ！ 逸る胸を抑えて駆けつける。 さあ、ここが、僕の、 
マイルーム！！[18:10] 適当に走っていると、一軒の民宿を発見。そこの庭には一人の女将さんらしき女性が花に 水をやっていたので、「今からでも大丈夫ですか」と聞くと、OKの返事が。おお！ 早速部屋を案内される。畳敷きでなかなか広い。いい部屋だ。荷物を置き、座る。一日の疲れが ドッと出てくる。はー･･･。グルルルル･･･。 お腹が空いていたのを忘れていた。近くにスーパーがあると女将さんに教えてもらったので、 そこへ向かい、売れ残って安くなった焼肉弁当とようかんを買う。 
腹が減ってたから余計おいしい[19:59] 
おやすみなさい[22:01] 一日の走行データ
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