6日目−8月6日（水）− | ||||||||||||||||||
出発朝6時半頃起床。洗面所に行こうとして、長い廊下を歩く。既に夜は明けているので何も問題は無いが、 昨晩トイレに行く時にここの廊下を通った時は、あまりの怖さに漏らしそうになった。 宿泊客は僕1人な上に、なぜか女将さんは用事で留守にしていたため、「古い旅館に1人取り残される」 というホラーゲームのような状況になっていたのだった。何も出なくて良かった･･･。歯を磨きながら 胸を撫で下ろす。部屋に戻り、散らかっていた部屋を掃除する。ついでに鞄の荷物も整理し、衣類などを取り出しやすくする。 準備が整ったところで笈摺を着て部屋を出て、女将さんにお金を払い、お礼を言って宿を後にする。 23番へさて、次のお寺までは海岸沿いの一本道を真っ直ぐ走ればいいらしい。これなら迷う事もなさそうだ。
旅館近くの踏み切り[7:26] 
海沿いを走り[7:34] 
森を抜ける[7:39] 
そこに建てる勇気[8:17] 
ロックだ[8:19] 
[8:31]
お出迎え[8:33] 
屋根がつるっつる[8:37] 室戸岬へ地図で確認すると、次の24番のお寺は室戸岬の近くにあるらしい。距離はおよそ80キロだそうだ。 うーん、今日中は無理だろうけど、とりあえず走ろう。というかそれしか道はない。
ゴー！ゴー！[8:57] 
山入りまーす[9:06] 
一旦休憩でーす[9:22] 
この中なら安心だ[9:25] 
！？[9:29] なんてことはまるでなく、ただ「変わった落書きだなー」ぐらいの印象しか受けなかったけど、 ただひとつ疑問に思うのは、これを書いた人は何を思ってこの落書きをしたんだろう？という事だ。 
外に出ると[9:37] 
35℃を示す電光板[9:57] 
田舎だなー[10:01] 
自販機天国[10:11] 
効きそうだ[10:14] ある程度疲れも取れたところで休憩所を出発し、走り出す。15分ほど走るとひとつのコンビニが 目に入った。お腹もすいているような気がしたので、一旦ここで昼食をとることに。 
久しぶりのコンビニ[10:36] 
血となれ肉となれ[10:43] 
これは･･･[10:52] 面倒だったからだ！！ タイヤの事はあまり考えないようにし、代わりにさっき食べたピリ辛牛カルビのおにぎりの事ばかり 考えるようにする。すごくおいしかった。最近ガソリンの価格高騰があちこちで騒がれているが、石油に代わる バイオ燃料を個人的に見つけた気分だ。カルビのおにぎりさえあればどれだけでも走れる気がする。 お腹も膨れたところで、自転車に跨ってコンビニを後にする。 交通整理のおっちゃん町中を走っていると、工事で道路の通行が制限されている区間があった。交通整理をしているおっちゃんに 「ご苦労様です」と声をかけたら、飴を貰った。お礼を兼ねて 少し話していると、どうやら彼は最近事故に遭っちゃって、それからどうも 腰の調子が悪いということを聞いた。早く治るようにお寺で祈っとくよ、と言って去る。自転車を走らせながら片手で飴を口に入れる。塩味だ。 これでいくらでも汗がかける。おっちゃんありがとう！ 
サーファーがいる[11:13] 
無限ループって怖くね[11:17] 
シュヴァアア[11:27] 休憩途中で休憩所が目に入ったので、ありがたく休ませてもらうことに。休憩所といっても 東屋 がすこし立派になったぐらいのものだが、それでも屋根のあるところで
座れるというだけでもすごくありがたい。おまけに脇には水道があったので、空になりかけていた
ボトルの水を汲ませてもらう。
水を汲める喜び[11:56] 
陽炎[12:05] 再び休憩しばらく走ると、また休憩所が目に入った。さっき休憩したばかりだが、今度の休憩所はきちんと管理された 有人の施設だそうで、何か面白い話でも聞けたらと思って、興味本位で入ってみる事にする。
お邪魔しまーす[12:18] 寝袋との別れちょっと走ったところで郵便局を見つけた。そういえば、寝袋をほとんど使っていなかったんだった。 多分これからも 使うこともないだろうから、悪いけど先に家に帰ってもらうことにしよう。局内で簡単に手続きをし、 渡されたダンボールに寝袋を詰め込み、局員に渡す。ゆうパック便利だなー。
すっきりした[12:41] しばらく町中を走る。結構大きな町で、欲しいものがあったら何でも買えそう。 
耕うん機だって売ってる[12:49] 
50km･･･[13:01] 19歳の若者遍路海岸沿いを走っていると、道路の右側をお遍路さんが歩いているのを見つけた。歳は僕と同じくらいだろうか。 近寄って行って歳を聞いてみる（お遍路じゃなかったらできないな、こんな事･･･）。彼は19歳の大学生で、夏休みを利用してお遍路に来ているそうだ。何となく「俺も19だよ！」と言ってみると、 すごく親しげに話してくれるようになった。少し後ろめたくもあったが、これが僕の処世術だと割り切る。 それにしても、初日に会った巨大なリュックのお兄さんもそうだけど、大学生でお遍路来る人って結構いるんだなあ。 すっかりお兄さんに懐いてしまったので、自転車から降りて歩きながら話す。 彼が言うには、過去のお遍路さんの中にはお接待として10万円を 貰ったことのある人がいるという。なんでも、お遍路の途中にとある会社の社長さんに出会ったらしく、 人柄を気に入られての10万円だとか。 「10万あったらお遍路もう一周できちゃうよね」と彼。 「頑張ってその社長見つけて俺らも10万貰おうぜ！」と僕。 もっと喋っていたかったが、これ以上いると邪魔がられるかなと思い、お別れを言って先立った。 なんだか学校で友達と話すような会話ができて、すごく心が安らいだ。 一人旅をしていると、ただの会話が余計にありがたく感じる。 
海岸沿いを走ります[13:03] 
サーファーがちらほら[13:17] サーファーとの交流徳島県の南の方の、もうすぐで高知というあたりの位置には、宍喰川という海に注ぐ川があって、 ちょうどその橋を渡っている時に、二人のサーファーが向かい側から歩いてきた。 僕は「いい体つきしてるなー」なんて羨ましがってジロジロ見ていると、視線に気付いたのか、声を掛けられ、 なぜか仲良くなり、「コーヒーでも飲まない？」と誘われ、近くにあった喫茶店に連れていってもらい、 何を話そうか考えていると、「じゃあ俺達はサーフィンしてくるから、ゆっくりしてってよ。 お代は俺らが払っといたから」と彼らは僕がお礼を言い終わらぬうちに店を出て行ってしまった。
どーん[13:25] 「なんていい人たちなんだ！」と、お店を出たころにやっと気付く。ナイスガイとはまさに彼らの事を 指すんだろう。すれ違っただけの赤の他人にコーヒーを奢る事のできる若者が、なんとこの日本には いたんですよ皆さん！今ではすっかり顔を忘れてしまったけど、もし僕が有名になり、 この遍路日記がたくさんの人の目に触れることになって、彼らがネットで「これ俺らの事じゃね？」と 見つけてくれるような事があったらいいな、と思った。でも、そうはならないことは火を見るより 明らかだ。 お店を出た先にあるトンネルを抜けると、ある標識が目に入った！ 
高知だ！[13:35] お寺に着いた訳でもないのに、なぜかすごくテンションが上がってしまう。 県境を一種のチェックポイントと捉えている節があるのだろう。県境でこれだけ嬉しいのだから、 88箇所回り切ったときの喜びはきっとどのようなものなのだろう。想像もつかない。 高知を走る高知はきっと、道行く人すべてがカツオ好きで、喧嘩が起きてもすぐに仲裁しに入るんだろうな （坂本竜馬っぽく）、なんてことを考えていたが、そんなことはなかった。普通だった。
海水浴場を抜ける[13:42] 
山が高速移動してるように見える[14:24] 
残念[16:08] 
ゴジラに引っかかれた山[16:19] 
ロックだなー[16:23] 
え？[16:26] 周りの他の標識や地図とを見比べて確認してみると、こちらの12kmというのがどうやら正しい室戸岬までの 距離のようだ。さっきのは「室戸」までの距離だったらしく、確かに標識に「岬」とは書かれていなかった。 やった！何というか、月曜が祝日だということを日曜の夜になって始めて知った時の気分だ。すごく嬉しい。 室戸岬にて
船[16:32] 
ポニョ（最終形態）[16:49] 
高さ21mだそうです[17:09] 
僕は怖くて無理[17:11] ネイシアとジェシー暗くなり始め、そろそろ泊まるところを探さないとな、なんて考えていると、少し先を歩く 二人のお遍路さんが目に入った。話しかけようと思って近付いていくと、それはお遍路の格好をした外国人で、 とりあえず「ハーイ！ハロー！」と話しかけてみると、「ああ、僕日本語話せるんで、大丈夫っすよ」 と流暢に返された。恥ずかしい･･･。彼の名はネイシアといい、以前は兵庫で英語の教師をしていたそうだ。そのせいか彼の話す日本語は 上手いんだけどどこか関西弁寄りで、ホットペッパーのCMみたい、と言えば分かりやすいだろうか。 彼の少し前を歩く友人はジェシーといい、日本の仏教について興味があるらしく、 それでお遍路をしているのだそうだ。好きなものは温泉、苦手なものは肉類全般だという。 ちなみにこちらの彼は日本語は一切喋れない。 話しているうちに僕がすっかり懐いてしまったため、自転車から降りて、二人と一緒に歩く。 しばらく歩くと大きな温泉施設を見つけた。 だが入浴料が1500円という破格なので、ジェシーだけが温泉に入り、僕とネイシアは施設の外に併設されていた 足湯で時間を潰すことに。 
こういうやつ[18:43] しばらくすると温泉の塀越しにジェシーが現われて、ネイシアと何かを話し始めた。何でも 「僕はもう少し温泉にいるから、先にどこか寝るところを探して泊まっててくれ」ということらしい。 ネイシアもそれに同意し、足湯から出て、出発する。 野宿温泉を出発してしばらくすると、雨が降り出した。これはまずいということで、僕は先に自転車で走って 行って、泊まれそうなところを探す。偶然庭にいた床屋のおばちゃんに事情を伝えると、 「それなら海の駅がいいよ」とのことだったので、どんな駅か分からないが、 おばちゃんを信じてとりあえずそこに行ってみることに。
暗い[19:44] 学校のグラウンドほどはあろうかという敷地には、人っ子一人居ないが、敷地内には東屋に水道、トイレ、 自販機など、野宿するのに必要な要素は全て揃っていた。急いで道を引き返し、ネイシアの元へ向かい、 その事を伝える。 なんとか海の駅に着き、とても大きな東屋の下で一息つく。ふとネイシアの方を見ると、どうやら 長距離を歩いてきたために足を痛めているらしく、トイレに行きたいが靴を履くと痛むのだそうだ。 じゃあこれ使いなよと、持っていたユニクロのビーサンを渡すと、ピッタリだ！と喜んでくれた。 びしょ濡れの服を脱ぎ、比較的乾いている服に着替える。ロープを張って服を干し、タオルを絞って 自分の体や自転車を拭く。 作業が終わると、木製のテーブルに銀マットを敷き、寝袋がないのでテントを布団代わりにして横になる。 別のテーブルで横になっているネイシアは携帯で彼女に電話していたので、 僕も電話に見せかけてラジオを録った。携帯用ランプを点けて日記を書き、 書き終わった後にランプを消し、ネイシアに「グッナイ」と言って、寝た。 一日の走行データ
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