8日目−8月8日（金）− | ||||||||||||||||||||||||||||||
起床朝6時頃目が覚める。カーテンをめくって窓から外を見てみる。今日は晴れるかと思ったが、 雨は依然降り続いていて、少し落ち込む。7時までにはここの通夜堂を出なくてはならないので、 少し急いで準備をする。布団を畳み、干しはしたが全然乾かなかった衣類をしまい、箒で 通夜堂周りを掃いて掃除する。納経所の人にお礼を言って、通夜堂の軒下に停めてあった自転車に 跨り、下山する。
アンパンマンみたい[7:06] 
いやな空[9:12] 28番へしばらく走ると、結構大きめの休憩所が目に入った。
等身大の人形がお出迎え[9:32] 
走ります[9:48] 
龍馬さん[10:32] 
そういえば雨止んでる[10:56] 
おはよう[11:56] 
地元に近い風景[12:05] 
手すりの錆び具合[12:19] 
[12:37]
29番へお寺を出て走っていくと、大きな道路に出た。
うおー[13:20] 
うまい[13:38] 
山だ[14:25] 
[14:20]
団体さんだ[14:22] 
水を汲ませてもらいました[14:29] 30番へ
いい空[15:15] 
ちょっと休憩[15:27] 
[15:43]
タイムアタックさて、現在時刻はだいたい4時ちょっと前だから、お寺が閉まるまで1時間の猶予が残されている。 で、次のお寺までの距離はだいたい6km半だから、計算上は時速10kmで走っても余裕で間に合う感じだ。 それなら、まあ、何とかなるかなと思ったが、地図をよく見てみると、次のお寺は山にあるそうだ。 また山か！地図に向かって悪態をつき、どうしようか考え直す。あれこれ思案した結果、「間に合わなかったら 何かに負ける気がする」という訳の分からない俺ルールに基づいて、 何が何でも今日中に間に合わせることにした。地図をしまってペダルを踏み込む。 線路を越え川を越え、また川を越えて線路を越える。なかなかの好ペースで走り続け、登山道の入り口に到着。 だが、既に時刻は午後4時40分。あと20分しかない。目の前には延々と続く上り坂。自転車から降り、ハンドルを 両手でしっかり握り、地面を蹴り、駆け足で坂を登る。 そして、何とか時間内に31番のお寺に到着した。 
[17:06]
間に合って良かった･･･。一安心して階段のふもとに座り込んで休憩していると、昨日会った青山さんが坂を 登ってこっちにやってきて、「まだ(納経)大丈夫かな？」と言った。「僕もついさっきして貰ったばかりだから、 多分大丈夫だと思うよ」と無責任な太鼓判をプッシュしておいて、階段を登る彼女を見送る。 つい忘れがちだが、彼女は歩きで僕は自転車だ。それなのに同じペースでお寺を回っている なんて、僕が遅いのか、彼女が速いのか、そのどちらかだ。もしくは両方だ。それに、 自転車って便利に思えるけど、山登りの時はただのお荷物だし･･･。 とはいえ、平地や下り坂なら歩きより速いのは明らかだから、そのペースに追いつく彼女は、きっと、 元気なんだなと、そう判断した。 「良かった、納経してくれたよ」と嬉しそうに青山さんが降りてきた。ここで「やったじゃないすか！！」 ぐらい言えればよかったのだけど、僕は山登りで疲れていたためか「そうすか」ぐらいの対応しかできなくて、 結局そのまま別れてしまった。結局その後彼女と会う事はなく、そのままお遍路を終えることになるのだが、 最後の最後の別れの言葉が「そうすか」なんて、あまりに物寂しい。 落ち込んで一人ぼうっとしていると、道路脇の自販機が目に入ったので、ペットボトル入りの桃の天然水を 買って飲む。爽やかな桃の甘味と天然水の潤いが、僕の落ち込みを「ヒューヒュー」と掻き消してくれて、 僕は「ああ、世界は桃と水で出来ているのだな」と思った。 さて、これで目標のお寺は全て回り切ったので、後は寝るところを探すだけだ。自転車に跨って山を下って いく。 
田んぼの色がいい[17:20] 
あんな小さい穴によく入る[17:20] おっちゃんにお礼を言って、とりあえずはそのコンビニへ向かう。 
日も暮れてきた[17:33] 
ガスタンク[17:44] 腹ごしらえも済んだので、後はおっちゃんの言ってた公園へ向かうだけだ。地図を見ながら公園を目指す。 
空に浮かんでるように見える[18:25] 
積算距離500km[18:43] 
いざ入ると結構でかい[18:49] 東屋の横に自転車を停め、荷物を床に並べ、一息つく。あのおっちゃんが教えてくれなかったら、こんないい物件には およそ辿り着けなかっただろう。おっちゃんがいるであろう方角に向かって手を合わせ、感謝する。 床に座って荷物を整理していると、公園で遊んでいたらしき小さな男の子がやって来た。 無性に構ってほしくなった僕が、たろう君人形を持ってビヨヨーンと伸ばして「ほら、伸びるんだぜ！」と やると、すぐさま踵を返して逃げるように母親の元へ走り去っていった。 引越ししょんぼりしていると、腰掛けていた床の隙間から、一匹の虫が飛び出してきた。 はじめは「スズムシかな」と思ったそれは、長い二本の触覚と黒光りする体を有していた。ゴキブリである。「ひいっ」と情けない声を上げて東屋から離れると、それを合図に数え切れないほどのゴキブリが床下から 這い出てきた。悪夢のようなその光景を、呆けた顔でしばらくの間見つめる。 先ほどまで僕が座っていた床は、突然現れたゴキブリ軍によって奪われ、置いてあった荷物は全て 人質に取られてしまった。こんなインチキ物件はさっさと引き払って他の東屋へ引越したいが、 荷物を取り戻したくてもゴキブリが邪魔をして、容易に引越しができない。 一度にたくさんの荷物を持っていこうとするとゴキブリが現われ、それに驚いて持っていた荷物を全て 落としてしまい、また拾わなくてはならないという、ちょっとしたミニゲームのような事に なっていた。仕方が無いので一個ずつ荷物を持っては別の東屋へ運び、また戻り、 荷物を持って運び、を繰り返した。 30分ほどかけて、ようやく荷物を全て運び終える。さっきの東屋は床が高くなっていて、 その床下がゴキブリの温床になっていたが、こっちの東屋の床は薄い木の板が敷いてあるだけだ。 そのおかげでゴキブリはいない。いないのだ。そう信じて一息つく。 集会？すると、公園の入り口付近から若い人の声が聞こえてきた。それも一人や二人ではなく、何十人という声だ。 もう日も暮れているのに、こんな時間に人が集まるなんて、暴走族の集会しかない。見つかったら 面倒になりそうだ。でもちょっと見てみたい。興味本位で声のする方へ近寄っていってみる。暴走族の集会かと思われたその人の集まりは、なんてことはない、ただのよさこいの練習だった。 いや、なんてことなくはないか。夜だというのにも関わらず大声をあげ、 大勢の若者が公園入り口の広場で踊っているその光景は、形容し難い迫力に包まれていた。 花壇に腰掛けて自販機で買ったCCレモンのペットボトルを片手に見物する。生のよさこいを観るのは 初めてだったので、とても面白かった。たくさんの人が同じ行動を同じタイミングでするのは 観ていて爽快だ。きっと物凄く練習したんだろうなあ。満足して東屋に戻る。 床に横になってランプを灯して日記を書き、よさこいの興奮が冷めないうちにラジオを録り、 テントに包まって寝た。 一日の走行データ
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